生物多様性ホットスポットとは?
現在、世界で36カ所の生物多様性ホットスポットが選定されています。生物多様性ホットスポットは、地球上で生物学的に特別豊かでありながら、同時に破壊の脅威にさらされている場所で、「日本」もその一つです。生物多様性ホットスポットに残された原生自然は、地球の陸地総面積のわずか2.5パーセントに満たない面積ですが、残されたその場所に、全植物の50%、両生類の60%、爬虫類の40%、鳥類・哺乳類の30%がそこにしか生息していません。
生物多様性ホットスポットに認定されるには、以下2つの基準を満たす必要があります。
- 1,500種以上の固有維管束植物があること。
- 原生環境の70パーセント以上が消失していること。
これら2つの基準を満たした地域でも、さまざまな違いがあります。例えば、東南アジアの「スンダランドホットスポット」や南米の「熱帯アンデスホットスポット」には、約15,000種の固有植物が確認されています。また、原生植生が95%以上破壊されているホットスポットもあります。
生物多様性ホットスポットには誰が住んでいるのでしょうか?
36の生物多様性ホットスポットには、世界の最貧困層を含む約20億人の人々が暮らしており、その多くが地域の健全な生態系に暮らしを直接的に依存しています。
ホットスポットの自然生態系は、淡水の供給、作物の受粉、気候の調整など、人間の生活にとって重要な生態系サービスを提供しています。
これらの地域は、地球上で最も人口密度が高い地域でもありますが、人と生物多様性の関係は、単に人が増えれば生物多様性への影響も大きくなるというものではありません。人と生物多様性の関係の多くは、密度ではなく、むしろ人の活動にあります。
ホットスポットの保全は、これらの重要な天然資源の持続可能な管理を促進し、経済成長をサポートし、暴力的な紛争の原動力を減らすことにもつながります。
生物多様性ホットスポットの概念はどのようにして生まれたのでしょうか?
1988年、イギリスの生態学者ノーマン・マイヤーズは、10の熱帯林「ホットスポット」を特定する重要な論文を発表しました。これらの地域は、植物の固有性が非常に高く、生息地の損失が深刻であることが特徴でした。
コンサベーション・インターナショナルは、1989年にマイヤーズのホットスポットの概念を組織の活動指針として採用しました。1996年、CIでは、重要な地域が見落とされていないかどうか検証を含めて、ホットスポットのコンセプトの再評価を行うことを決定しました。その3年後に、生物多様性ホットスポットの指定に定量的な閾値を導入した大規模なグローバルレビューが行われ、25のホットスポットが指定されました。
2005年には、約400人の専門家による追加分析により、生物多様性ホットスポットの数は34になりました。
2011年には、CIと協力する英連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究チームによって、「オーストラリア東部森林地帯ホットスポット」が35番目のホットスポットに指定されました。
2016年2月には、新たに「北アメリカ南東部平原ホットスポット」が基準を満たすと認められ、36番目のホットスポットとなりました。
<生物多様性ホットスポットマップ>
*生物多様性ホットスポットの画像は、ホットスポット名称入りと名称なしの2種類をご用意しています。
マップデータをご使用になりたい方は、手続きが必要ですので、CIジャパンまでご連絡ください。