バリ島からバハカリフォルニアまで、サーファーたちにとって大切な海の健康状態は、無計画な沿岸開発や乱獲、そして気候変動の影響によって、サーフボードの真下で悪化しつづけています。
サーフィンは、年間500億ドルの利益を生み出し、世界中で3,500万人以上の人々が楽しむスポーツとなっています。そして、サーファーたちは、海やお気に入りのサーフスポットを健全に保つことにも熱心です。
コンサベーション・インターナショナルと環境保護団体のセーブ・ザ・ウェイブ・コアリション(Save The Wave Coalition)は、世界規模でサーフィンコミュニティを結束させ、良い波があり、かつ、生物学的にも多様な海洋・沿岸生態系となっている優れた地域を保全するために「サーフ・コンサベーション・パートナーシップ」を開始しました。パートナーシップの目標は、まだ保全されていない数百万ヘクタールのサンゴ礁や海岸林、その他の重要な生息地を、持続的に管理することです。
アプローチはシンプル
私たちは、地域のコミュニティや政府と協力して、乱獲、森林破壊、プラスチック汚染、持続不可能な開発などの脅威から海を守り、生態系を保護する目的で「サーフィン保護区」を創設しました。
2025年までに、サーフ・コンサベーション・パートナーシップが目指すこと。
- 100万ヘクタール以上のサンゴ礁、マングローブ、海岸線、海岸林 を保護すること。これにより、300以上の高品質なサーフブレイクが保全され、世界中の何万人もの地元住民に恩恵をもたらすことにつながる。
- 持続可能な開発を通じて、何万人もの人々の生活を向上させること。
- 若者(特に少女と若い女性)が重要なライフスキルを身につけ、保全と持続可能な経済事業を積極的に主導できるように支援すること。
- コミュニティを中心とした、環境に配慮したサーフ&ネイチャーツーリズムを盛り上げる持続可能な観光プログラムを実施すること。
- サーフィンが持つ2つの大きな役割(1:地域経済にもたらす経済的貢献、2:自然保全上の位置づけ)に関して、意思決定者が理解できるよう情報を提供すること。
世界初のサーフィン保護区ネットワークを構築
世界各地でサーフィンは地域経済にとって重要な役割を果たしており、自然保護を後押しする大きな可能性を秘めています。経済学者の試算によると、波が良いブレイクポイント1つあたり、年間1800万ドルもの利益を地域経済にもたらし、何百もの雇用を創出し、何千もの人々を支えているとされています。
しかし、人気のサーフィンスポットも、海洋プラスチック汚染、乱開発、天然資源の乱用、気候変動による影響に悩まされています。サーフィン保護区の設立は、こうした脅威に歯止めをかけるための規制や行動となって、重要な生態系と地域経済の保護に役立っています。
これらの地域を保全するために、漁業禁止区域、危険な漁具の使用禁止、許可外での漁業禁止、砂やサンゴの採集を含む生息地改変の制限、持続可能な沿岸開発の要件などの規制が、地元住民と政府によって策定されています。
私たちの協力団体
■ワールド・サーフ・リーグ(WSL)■
サーフ・コンサベーション・パートナーシップは、WSLと協力して「We Are One Ocean」キャンペーンを支援しています。WSLは、海洋保全の問題に関心を持つ人々を集め、将来世代のサーファーたちのために、サーフィンの未来を守ることを目的に、2021年初頭に「We Are One Ocean」キャンペーンを立ち上げました。立ち上げ以来、このキャンペーンは150カ国以上の人々と、セーブ・ザ・ウェイブスなど90以上の団体を集め、また4億以上の累積リーチを獲得しています。このキャンペーンは、2021年の国連生物多様性条約において、2030年までに国際水域を含む世界の海洋の少なくとも30%を保護・保全するという目標を採択するよう、世界の指導者に呼びかけました。WSLは、世界のリーダーたちに対して、科学的に裏付けられた、すべての関係者のコミュニティを受け入れ、あらゆる人々に対する海洋の価値を考慮した包括的なプロセスによって政策が形成されることを強く求めました。
■UCLA■
このパートナーシップの鍵となるのは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の環境・持続可能性研究所(IoES)およびアンダーソン経営大学院との協力関係です。世界的に有名なUCLAは、サーフィン発祥の地である、南カリフォルニアに拠点を置き、その学術的な専門知識とビジネスセンスを活かして、サーフプロテクトエリア構想の強化に貢献しています。
サーフィン保護区は、環境保全の拡大に大きなメリット
海を愛するすべての人にとって、サーフィン保護区というアプローチは、海洋保護を拡大する上でいくつかのメリットがあります。
- 需要:サーフィンが盛んな地域や政府は、大切な波を守り、日々の生活を依存している天然資源を保全し、持続可能な観光の機会も提供できる、こうしたアプローチを必要としています。
- 迅速性:サーフィンコミュニティは、海と深く関わっており、海が脅かされていることを理解しているので、保全に強い意欲を持っています。そのため、サーフィン保護区の設立は迅速に進むことが多いです。
- サステナビリティ:健全な海岸線と、質の高い波は、社会的・経済的に計り知れない価値があります。サーフォノミクスの方法論は、サーフィンが地域経済に何百万ドルもの利益をもたらすこと、そして、サーフィンをしに訪れるサーファーが波や自然を長期的に保全するためにお金を払う可能性が高いことを明らかにしています。この巨大な経済的価値は、地域社会や意思決定者に、長期的に沿岸資源や波を保全する動機となっています。
お問い合わせ先:
スコット・アキンソン(Scott Atkinson)
コンサベーション・インターナショナル、オーシャンセンター、サーフ・コンサベーション・パートナーシップ ディレクター
satkinson@conservation.org
世界各地で最高レベルの波を生み出す地域の85%以上が、海洋と沿岸の保護にとって極めて重要な場所に位置しています。このため、海洋生態系の法的な保護と、持続可能な地域開発を両立させるサーフィン保護区の可能性は限りなく広がっています。
「サーフ・コンサベーション・パートナーシップ」の創設者たち
コンサベーション・インターナショナルとセーブ・ザ・ウェイブス・コアリションは、「サーフ・コンサベーション・パートナーシップ」の立ち上げにご協力いただいている、先見性のある皆様に大変感謝しています。このパートナーシップの創設者たちは、惜しみないアドバイスをご提供してくださり、そして、友人や同僚たちをこの活動に参加させ、重要な活動資金とサポートを提供してくれています。
Nico Argyropoulos
Scott K. Atkinson and Ashley Kleckner
Kristina Brittenham and Jesse Sisgold
Joe Chrisman
Erin Culley and Richard Carlson
Langley Eide and Tom McDonald
Justin Havlick
David Joshua Levy
Randy Sinquefield
Shannon and Bryce Skaff
John Swift and the Mycorrhizal Fund
Brad Warga