爬虫類に関する包括的研究:爬虫類の5種に1種以上が絶滅の危機に瀕する中、他生物の保護活動による効果がもたらされている可能性が明らかに
4月 27, 2022
Lyriocephalus scutatus: Lyre-headed Lizard. Vulnerable. Sinharaja Forest Reserve, Sri Lanka, 2019.
アーリントン、バージニア州 (2022年4月27日) – NatureServe、国際自然保護連合(IUCN)、コンサベーション・インターナショナルが発表した新たな研究によると、他生物の保護活動の影響で、多くの爬虫類の保護にも効果がもたらされている可能性が明らかになりました。
「Nature」誌に発表された本研究は、IUCNの絶滅危機種レッドリスト™に掲載されている爬虫類の絶滅リスクを初めて総合的に評価したもので、世界の全爬虫類の少なくとも21%が絶滅の危機にさらされていることがわかりました。
今回の報告は、6大陸24か国からなる多様な研究チームが、哺乳類、鳥類、両生類と比較して、10,196種の爬虫類の保護の必要性を分析したものです。爬虫類には、カメ、ワニ、トカゲ、ヘビ、そして約2億~2億5000万年前の三畳紀に進化した系統で唯一現存する、ムカシトカゲも含まれています。
この調査により、絶滅の危機に瀕している哺乳類、鳥類、両生類を保護するための取り組みが、多くの絶滅の危機に瀕している爬虫類の保護にも効果をもたらしている可能性が予想以上に高いことが明らかになりました。爬虫類は、砂漠や低木林などの乾燥地帯に生息することで知られていますが、ほとんどの爬虫類は森林に生息しており、他の脊椎動物と同様に、森林伐採や農業への転換といった脅威にさらされています。その結果、乾燥地に生息する爬虫類の14%が絶滅の危機に瀕しているのに対し、森林に生息する爬虫類の30%が絶滅の危機に瀕していることがわかりました。
また、この研究は、私たちが爬虫類の保護を怠った場合、何を失うことになるのかも明らかにしています。現在、絶滅危機である1,829種の爬虫類のそれぞれが絶滅してしまった場合、多様な環境下における無数の適応の歴史を含め、156億年分の進化の歴史を失うことになるのです。
他生物種の保護活動が爬虫類保護にも有効に働いているとはいえ、研究者らは、最も脅威にさらされている爬虫類種、特に島などに生息し、外来種の捕食者に脅かされている固有種のトカゲや、人間活動の影響をより直接的に受けている種の保護には、緊急かつ対象を絞った保護対策が必要であると強く訴えています。例えば、生息地の環境変化よりも狩猟がカメやワニにとって主な脅威であり、そうした爬虫類の半分は絶滅の危機に瀕しています。
この世界的な爬虫類の評価結果は、絶滅リスクの変化を測定し、時間の経過とともに種の回復状況を追跡するためのベースラインとして利用できます。また、生物多様性にとって重要な地域(Key Biodiversity Area)や、積極的な管理によって絶滅を防ぐことができる場所を特定することで、自然保護のための資源配分を検討する指針としても役立ちます。
IUCNレッドリストの評価には、900名以上の科学者が参加しており、その結果が今回の報告にも反映されています。
絶滅が危惧される爬虫類の地理的分布図
IUCNのレッドリスト™に、CR(Critically Endangered)=絶滅危惧ⅠA 類、EN(Endangered)=絶滅危惧ⅠB 類、VU(Vulnerable)=絶滅危惧Ⅱ類にランク付けされた爬虫類を、絶滅危惧種と見なす。暖色(赤)色は、絶滅の危機に瀕している爬虫類の種が多いことを示す。
<メディア用写真素材> https://nsf.widencollective.com/portals/2mqdrxvq/GlobalReptileAssessment
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