COP15へ向けて:生物多様性保全のための資金確保と方向性を示す極めて重要な機会
12月 6, 2022
【米国バージニア州・日本東京】コンサベーション・インターナショナルのリナ・バレラ国際政策担当バイスプレジデントは、2022年12月7日から19日まで、カナダ・モントリオールで開催される生物多様性条約締約国会議(COP15)に向けて、以下の通りコメントを発表しました。COP15 の最も重要なポイントは、今後10 年間の世界の生物多様性保全のための行動と資金調達の指針となる「ポスト2020 年生物多様性枠組(GBF:Global Biodiversity Framework)」の最終化です。
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「今、極めて重要なタイミングに差し掛かっています。Covid-19の影響による長年の議論の遅れを経て、世界は COP15 会議のためにモントリオールに集まります。私たちは、迫り来る生物多様性の危機に社会全体で対処しなければなりません。人類の歴史上、最も多くの種が消滅している現在、一刻も無駄にする時間はありません。
この数週間で合意される内容は、地球の未来、ひいては人類の未来を決定する上でとても大きな役割を果たすことでしょう。COP15が終了する頃、生物多様性条約の会議場がパリ協定と同じような瞬間を迎えて、各国が今後10年間の保全活動の指針となる、実行可能で野心的、かつ十分な資金を備えたという青写真を手に入れることができると私は期待しています。
生物多様性枠組(GBF)の完成は、スタートラインです。これからの8年間が、2030年までに、“ネイチャー・ポジティブ”な世界を実現するゴール地点へと向かう時間となります。
GBFを最終的に成功させるには、人間の幸福との関連性において最も意味のある場所で保全を優先させることです。2030年までに、陸と海の30%以上を保全する「30x30(サーティバイサーティ)」の世界目標を達成し、水や食料、生計手段、気候の調整、嵐や洪水からの保護などの機能を提供してくれる場所の保護と再生を真剣に拡大する努力が必要です。自然が生み出す価値は、誰もが認める相乗効果があります。人間に最も直接的な便益をもたらす場所は、同時に、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類など、陸生脊椎動物の全種の少なくとも60%が生息しており、世界各地に点在する重要地域「回復不能な炭素(Irrecoverable Carbon)」のありかを指し示す世界地図の80%以上が重なっているのです。
この、炭素貯蔵の観点で重要な場所を示す世界地図と、人間の暮らしに便益を生み出す場所との重なりは、気候変動と生物多様性、どちらの危機をも緩和し、大切な自然を維持する機会を生み出します。潜在的なコベネフィットは計り知れず、私たちは愛知目標よりも野心的で、アクセス可能で公平な資金調達計画を確立しなければなりません。十分な資金がなければ、GBFは必要な資源を持たないただの計画になってしまいます。」
生物多様性の損失は、目立たず、静かに進行していきます。昨年、気候変動対策のために投入された公的・私的資金は、かつてないほど多くなりました。今、私たちは、生物多様性に対して同じレベルの支援を必要としています。そのような投資が適切に行われれば、自然は繁栄し続け、複数の環境危機を一挙に解決することができるのです。
私たちコンサベーション・インターナショナルは、国際社会が、この重要な瞬間をとらえ、包括的で十分な資金をもって、野心的な最終結果に到達することで、人類共通の目的と幸福のために団結することを望みます。モントリオールでのGBF策定は、“生物多様性のパリ協定”の瞬間となるかもしれません。」
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