コンサベーション・インターナショナル、自然クレジット (Nature Credit)に関する意見表明を発表
5月 23, 2024
新興の自然クレジット市場は、生物多様性の資金調達ギャップを埋める大きな可能性を秘めているが、枠組みが必要
2024年5月23日 (バージニア州アーリントン) - コンサベーション・インターナショナルは本日「ネイチャー・ポジティブ:自然クレジット市場に関するコンサベーション・インターナショナルの意見)」を発表しました。この意見表明では、公平で適切に運営された自然クレジット市場を実現するために不可欠な戦略と枠組みを概説し、高品質の自然クレジットの供給と需要を確保するためにコンサベーション・インターナショナルが適用する組織原則を明らかにしています。
・・・
〇自然クレジット(Nature Credit)とは?
「生物多様性クレジット(Biodiversity Credit)」または「生物多様性証明書(Biodiversity certificate )」としても知られる「自然クレジット」とは、生物多様性の保全、回復、適切な管理活動からもたらされる、測定可能なプラスの生物多様性の成果のことです。自然クレジットは、昆明・モントリオール生物多様性枠組み(GBF)において、自然保護資金不足を補うための解決策の一つとして認められています。
・・・
コンサベーション・インターナショナルの CEO 、 M. サンジャヤンは次のように述べています。
「自然保護は安くありません。国連の推定によると、世界的な自然損失を回復させるために、年間7,000億ドルの資金が不足しています。私たちは新しいアイデアに行動を起こす必要があります。我々のチームは、高品質で公平な自然クレジット市場が、民間部門の自然保護への関心を高め、プロジェクト成果に対する信頼を構築し、世界中の生物多様性を保護する先住民や地域社会にさらなる資金を投入することができると考えています。市場は急速に拡大していますが、まだリーダーシップの空白があります。コンサベーション・インターナショナルは、ガバナンスに関する複雑な問題に答えるための知識、経験、影響力を持っています。方法論は厳格であり、世界中で適切な支援政策が整えられ、コミュニティがこれらの市場に完全に参加し、利益を公平に共有できるように支援します。」
コンサベーション・インターナショナルの意見表明では、そのようなクレジット市場が自然にプラスの影響を与える経済を促進する可能性がある一方で、新しい市場に内在するリスクにも言及しています。新しい市場は複雑であることを認識し、それに応じて、すべての市場関係者は以下を行う必要があります。
- 先住民や地域社会を中心に据える - 彼らの権利と伝統的知識が認められ、保護され、統合されるようにする。
- 包括的なガバナンスを確保する - 先住民や地域社会の能力強化を支援し、参加するための障壁を最小限にする。
- 政策との整合性を図る - 政府の役割を認識し、国家および国際的な政策コンテキストと整合させる。
- 正味プラスの成果を目指す - 自然クレジット市場が自然と人間の両方にとってプラスの成果をもたらすようにする。
- 協働、学習、適応 - カーボン市場と生物多様性オフセットからの教訓を取り入れ、共同で協力し、迅速に学び、適応する。
この意見表明では、高品質な供給と高品質な需要の両方を確保するためのコンサベーション・インターナショナルが適用する原則も概説されています。
供給側におけるコンサベーション・インターナショナルの原則は、先住民や地域社会が保護され、パートナーシップを組み、支援されること、効果的なガバナンスを実証し、政府の能力を構築すること、長期的な持続可能性を可能にし、プラスの成果をもたらすこと、が挙げられます。
需要側の原則としては、買い手が取り組むべき具体的な行動を提唱し、世界生物多様性枠組み、パリ協定、または関連する政策を損なう企業からの自然クレジットの使用を支持しないことを明記しています。
コンサベーション・インターナショナルの長期融資担当バイスプレジデント、クリス・ストーンは、次のように述べています。
「このプロセスにはどんなに努力しても学習曲線が存在するものですが、私たちは進捗状況を厳格に管理し、学び、その過程でアプローチを適応させる用意があります。全く新しいタイプの市場を構築することは、挑戦的ですが、私たちはこのはかない地球と、人々を守るために進んで取り組みます。」
###
■コンサベーション・インターナショナルについて
コンサベーション・インターナショナルは、人類の繁栄のために自然を守ります。科学、政策、フィールドワーク、資金調達を通じて、気候、生物多様性、そして人にとって最も重要な自然環境に焦点を当て、その保護活動を展開しています。世界30カ国に拠点を置き、100カ国以上で政府、企業、市民団体、先住民グループ、地域コミュニティなど2,000以上のパートナーと連携し、人と自然が共に栄える未来の実現を目指しています。