エクアドル共和国は、世界有数のメガ・ダイバーシティ国と呼ばれるほど生物多様性の豊かな国々のひとつであり、沿岸部と山岳部に2つのホットスポット(トゥンベス・チョコ・マグダレナ・ホットスポット、熱帯アンデスホットスポット)が指定されています。国内には46種類に分類される多様な生態系が認められ、1千万ヘクタールの原生林が残されています。
一方、エクアドルは南米でも最も森林減少率の高い国のひとつで、年間20万ヘクタールの勢いで森林減少が進んでいます。この森林減少により、およそ5千5百万トンのCO2が大気中に排出されています。また、エクアドルの原生林には、多くの先住民族が居住し、その多くが貧困の問題にも直面しています。このため、エクアドル政府は森林保全に経済的インセンティブを取り入れながら、先住民族や現地コミュニティとともに、自国に残された貴重な森林生態系を保全するためのプログラム「ソシオ・ボスケ・プログラム」を開発し、実施しています。
CIエクアドルは、ソシオ・ボスケ・プログラムの開発の初期段階より、エクアドル政府への様々な支援を実施するとともに、コミュニティや先住民族グループがプログラムに参加するための支援活動を行っています。
ソシオ・ボスケ・プログラムの目標
- 国内の4百万ヘクタールにおよぶ森林や原生生態系を保全することにより、生物多様性と生態系サービスを守る
- ソシオ・ボスケをエクアドル政府のREDD+の国家戦略として位置付け、森林減少による排出の削減に貢献する
- 国内の貧困地域に居住する、百万人の人々の生計の向上に貢献する
ソシオ・ボスケ・プログラムの内容
- 森林保全への参加を表明する人々に対し、政府が面積に応じ、経済的支払いを実施しています
- 強制参加を求めるプログラムではなく、ボランタリーな参加に応じています
- 森林保全の実質的な実施が支払の条件となります
プログラムのプライオリティ地域
- 森林減少率の高い地域
- 生態系保全上、重要な地域(炭素蓄積量、水源地、生物多様性保全上の重要地域)
- 貧困率の高い地域
CIエクアドルの活動
CIエクアドルでは、貧困率と森林減少率が特に高い地域で、コミュニティがソシオ・ボスケ・プログラムに参加するための支援を実施しています。現地NGOや先住民族グループ、農家組織などとの協働により、プログラムへの参加を増加させるため、以下の活動を実施しています。
- プログラムの目的と内容の普及、啓発
- 応募書類作成への支援
- 保全地域のゾーニングを策定するための支援
- 森林保全による経済的インセンティブを利用するための計画の開発
- 計画の実施やパトロール体制の整備
- 森林保全に貢献する、現地で必要とされる能力向上支援活動の開発