世界各地のコミュニティは、食料、飲料水のアクセス、そして防災の面においても、淡水生態系の健全な機能に依存しています。しかし、淡水の保全は、人びとが淡水にアクセスできるようにすることとは、別の目的として扱われがちです。
私たちは、この状況を変えたいと考えています。人間の幸福と健全な流域が切っても切れない関係にあることを念頭に置き、川や湿地、湖などの生態系の保護に取り組んでいます。これらの生態系を守ることは、基本的な水・トイレ・衛生習慣(WASH:Water, Sanitation and Hygiene) サービスに誰もがアクセスできる世界を実現するために不可欠です。
CIの役割
淡水保全とWASHの取り組みを同時に行うことで、人と自然により大きな便益をもたらすことができます。コンサベーション・インターナショナルの「ウオッシュ・イン・ウォーターシェッド(WASH in Watersheds)」プログラムは、弱い立場にあるコミュニティが日々の生活を依存する淡水生態系を適切に管理することで、清潔な水へのアクセスを永続的に確保できるように作られました。
私たちの計画
コンサベーション・インターナショナルは、コミュニティの自発的責任を伴う管理計画(ローカルスチュワードシップ)に基づき、強力なガバナンスを伴う水管理の包括的なアプローチに取り組んでいます。私たちは、コミュニティの繁栄に欠かせない流域を保護するための知識やリソースを提供できるシステムを構築しています。
コミュニティとの協働
南アフリカでは、破壊的な放牧や、外来植物、劣悪な衛生施設によりムジムブブ川が汚染しており、そのために下流で暮らすコミュニティへ供給される水の質が劣化し、水量も減少しています。私たちは、この地域の水源を枯渇させている原因である外来植物を取り除く作業を進め、自然の湧き水を取り戻すコミュニティの取り組みを支援しています。また、地元政府と協力し、健康や衛生に関する教育キャンペーンを実施した結果、地域住民の幸福度と水源地の環境が劇的に改善されました。
ガイドラインの開発
コンサベーション・インターナショナルは、アフリカ生物多様性協働グループ( Africa Biodiversity Collaborative Group:ABCG)およびそのメンバーグループと協力してガイドラインを作成し、保健、開発、保全の専門家が、アフリカ・サハラ以南におけるWASHと淡水保全を両立し、より良い結果を生みだすだめの支援を行っています。
また、コミュニティの衛生状態を改善する手法も開発しています。一例として、南アフリカの放牧地に暮らす住民が、家畜を放牧する草原である「ヴェルド(veld)」で、適切な土地利用の重要性を理解することができるよう、ヴェルドの公衆衛生マニュアルを開発し、地域社会へ普及させています。
変革とコラボレーションの推進
コンサベーション・インターナショナルは、様々な支援を通じて、レジリエンス(回復力)のあるコミュニティと淡水生態系のつながりに関する意識を高められるよう努めています。また、パートナー団体とともに「アドボカシー戦略ガイド」を作成し、組織や政府が世界各地での人材開発プロジェクトに淡水保全とWASHを組み込むための支援も行っています。
さらに、プログラミング技術の提供やアドボカシー活動、意識改革、投資の拡大を通じて、共通のコミットメントの推進を目指す、12の開発および保全組織から成る「WASH -コンサベーション・ワーキング・グループ(WASH - Conservation Working Group」を主導しています。
数字で見るWASH
24億人
国連によると、適切に管理された衛生設備にアクセスできない人びとがいまだ24億人いると言われています。
ウォッシュ・イン・ウォーターシェッドのアプローチでは、基本的ニーズが満たされ、自然保護の成果との関連性を理解するようになれば、人びとはより一層自然保護を推進するようになると考えています。
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