熱帯林、広大な放牧地、海洋資源、象徴的な野生動物など、アフリカは豊かな自然資源に恵まれています。こうした「自然資本」は、食料、エネルギー、水など、地域と世界に計り知れない恩恵をもたらすと同時に、急速に温暖化が進んでいる気候の調整にも役立っています。
しかし、非持続可能な経済発展や森林減少、密猟、乱獲、その他の圧力により、アフリカの重要な資産は驚くべき早さで侵されています。短期的な利益が長期的な保全の利益よりも優先され、自然に直接依存するコミュニティが貧困と資源不足に陥るという事態がよく見られます。
コンサベーション・インターナショナルは、アフリカ全域で貧困を緩和し、気候変動との戦い、生物多様性の損失を減らすために、自然資源の保全と持続可能な管理の強化に取り組んでいます。
私たちは、すべてのアフリカ人の幸福にとって欠かすことの出来ない自然生態系を守るために、科学的知見を共有し、政策、そしてグリーンビジネスへの投資を支援しています。
活動地域
自然への脅威
私たちの取り組み
CIは、マダガスカルから、高地ギニアの森林の半分が残るリベリアまで、約40カ国において、約700万ヘクタールの自然生態系の保護に取り組んできました。人々の幸福、気候の安定、生物多様性保全のカギとなる地域で保全活動を進めています。アフリカ大陸の気候および社会・経済的課題に対する本質的な解決策として、森林、放牧地、海洋生態系の保護、回復、持続可能な管理における取り組みを拡げています。30年以上に渡り、地域レベルとグローバルレベルで培った経験、科学、政策、ファイナンス、現場実践の専門性を活かし、コミュニティ、政府、市民社会、民間セクターのパートナーと協働しながら、開発の考え方に変化を起こし、アフリカの人々が自然の良き管理者となるよう働きかけています。
重点分野
気候変動や社会経済的な利益を将来にわたって継続させるため、リベリア、マダガスカル、ケニアで炭素と生物多様性に富んだ森林保全に取り組んでいます。森林モニタリングの強化、炭素市場や信託基金を通じた森林保全のための資金の確保など、保護地域の設定や管理の改善、財政的な持続可能性をサポートします。また、森林の減少を最小限に抑える農業の改善やクリーンエネルギーを支援し、コミュニティが森林を保護するためのインセンティブを提供する支援も行なっています。
CIの気候変動に対する取り組み
38の沿岸国および島嶼国が存在するアフリカは、製品やサービス、生活や収入を海に頼っています。しかし、過剰な漁獲、マングローブの破壊、汚染などにより、その潜在的な経済力や生物多様性、気候調節の機能が脅かされています。
リベリア、モザンビーク、マダガスカルでは、コミュニティや政府と協力し、海洋資源のモニタリング、海洋保護区の設定、持続可能な漁業の支援、プラスチック汚染対策などに取り組んでいます。
CIの海洋保全スケールアップの取り組み
アフリカの放牧地は、土壌に多くの炭素を蓄えるとともに、コミュニティの生活を支える強力な自然を活用した気候変動対策となります。
私たちは、アフリカ南部と東部で農村コミュニティと協力し、雇用や家畜の市場アクセスなどの利益と引き換えに、家畜や土地、野生動物の管理の改善に関する約束を取り交わすことで、劣化した放牧地の回復に取り組んでいます。放牧地の回復と地域住民の生活向上に貢献する農村ビジネスを支えています。
CIの持続可能な土地利用と水利用の取り組み
現地プロジェクト
CIは、アフリカ大陸全域において、開発の中心に自然を据えることを約束したアフリカ主導のイニシアチブ「アフリカにおける持続可能性のためのハボロネ宣言(GDSA)」の策定を支援しました。CIは、ボツワナ政府の代わりにGDSAの事務局を務めています。CIと米国の宇宙開発機関NASAのパートナーシップでは、GDSA加盟国が自然の経済価値をより正確に測定し、持続可能な開発へ向けた動きに対して情報を提供するために、自然資源マップの作成を行っています。
CIは、環境インパクト投資ファンド「コンサベーション・インターナショナル・ベンチャーズ(LLC)」を通じて、社会的・環境的・経済的にプラスのリターンをもたらす企業を支援しています。最近の投資先には、ケニアを拠点に活動する、持続可能な林業会社Komazaや、南アフリカの有機肥料生産会社Thrive Compostなどがあります。
コンサベーション・インターナショナルは、絶滅寸前のマウンテンゴリラを守るため、数十年にわたる保護活動を実施し、今では中央アフリカに残るマウンテン・ゴリラは1000頭を超えるまで復活しました。国際ゴリラ保護プログラムを通じて、私たちは世界野生生物基金(WWF)、ファウナ&フローラ・インターナショナルと協力しながら、ルワンダ、ウガンダ、コンゴ民主共和国の政府および公園当局間の連携を元に、マウンテンゴリラとその越境付近生息地の保護を強化し、近隣コミュニティに、ゴリラを保護することでもたらされる利益が行き渡るよう活動しています。
ケニアで世界的に有名なマサイ・マラ国立野生動物保護区は、国内の野生動物の4分の1が生息していますが、コロナ感染症拡大による観光業への打撃で、この地を守るために必要な、人々の生活維持のための収入を失うことになりました。そのため、コンサベーション・インターナショナルは、マサイ・マラ保護区協会と共同で、マサイ・マラ救済基金を設立しました。これは、通常、観光事業のために保護区に土地を貸している先住民の土地所有者が操業管理費として支払うべきリース料を補うための融資制度です。
世界的にも高い森林減少率をもつマダガスカルにおいて、政府や地域コミュニティと協力し、わずかに残る手つかずの森林を保護しています。コミュニティの能力強化とドローンによるパトロールの強化、持続可能な農業の支援、劣化した土地の修復を通じて、アンケニヘニー・ザハメナおよびアンボシトラ・ボンドロゾの森林コリドーの保護を支援しています。このコリドーは豊かな生物多様性を有し、人々に淡水など多くの恩恵をもたらしています。
リベリアでは、沿岸および海洋生態系の劣化と汚染が原因で、食料、水質浄化、土砂ろ過、生物多様性の生息地、炭素貯蔵など、海洋生態系からもたらされる人々への大切な恩恵は失われつつあります。CIの「ブルーオーシャンズ・プログラム」は、海洋・沿岸のもつ「自然資本」の価値に対する理解を高め、新たな保護区の創設を促進し、プラスチック問題にも取り組んでいます。