中国西部の山々から、ニュージーランドの海岸まで、43億人の人口を抱えるアジア太平洋の広大な陸と海のネットワークには、地球上で最大かつ最も深い海洋も含まれています。
この地域は、何千もの陸域生物や海洋生物たちを育んでおり、そして、気候変動との戦いにおいて欠かすことのできない熱帯雨林やマングローブ林、サンゴ礁など、さまざまな生態系を有しています。 太平洋は、地球表面の30%以上をカバーしており、他のどの海よりも多くの海洋生物が生息し、世界の漁獲量の4分の3近くを占めています。
しかし、アジア太平洋地域の生物多様性は今、脅威にさらされています。 コンサベーション・インターナショナルは、劣化した自然生態系の再生や絶滅危機種の保護など、地域をまたいだ保全活動を推進しています。そして、地域のコミュニティがより持続可能な方法を用いて、自然とともに繁栄できるよう支援しています。
活動地域
脅威
アジアは世界的にみて、最も森林減少や生息地劣化、汚染、種の絶滅の危機の割合が高い。
太平洋諸島地域は、全海洋の10%にまたがり、世界最大の漁業マーケットとなっている。世界のマグロ漁の3分の1が行われている地域であり、同時に、乱獲による種の絶滅のリスクが最も高い地域でもある。
世界的な人口増加の60%はアジアで起こっており、過去65年間で3倍に増えている。
私たちの取り組み
CIは、1989年から、アジア太平洋地域での保全活動を開始しました。この地域には、スマトラ島やボルネオ島を含む「スンダランドホットスポット」や「フィリピンホットスポット」、また「ジャパンホットスポット」を合わせて、15もの生物多様性ホットスポットが存在しています。私たちは、人々が日常生活を大きく依存している海洋生態系や森林生態系の保護に重点を置きながら、アジア太平洋全体へと活動の範囲を拡大しています。そして、食糧安全保障の観点での改善策やプロジェクト実施に必要な資金の革新的な調達、重要な生態系を網羅した保護ネットワークの確立も支援しています。CIは、アジア太平洋地域の12カ国に現地オフィスを持ち、先住民コミュニティや地方政府、国家政府、民間セクターらと密接に協力しながら、人々へもたらされる自然からの大切な恵みを守るために活動しています。
重点分野
気候変動の影響による最悪の事態を回避するためには、2030年までには世界の気温上昇を1.5℃未満に抑える必要があります。そして、自然生態系が保有する炭素量は、その解決策の少なくとも30%をまかなうことができます。アジア太平洋地域では、フィリピンのマングローブ林や東南アジアのメコン川を支える原生林など、炭素を高度に蓄積している生態系を回復させることで、気候変動の緩和を図っています。
海は、人々へ収入と食料をもたらし、天候を調整し、二酸化炭素の排出を吸収するのに役立っていますが、今、まさに脅威にさらされています。アジア太平洋地域には、ニューカレドニアにある世界で2番目に大きな海洋公園を含む、海洋保護区のネットワークが形成されており、CIはその構築を支援しています。
カンボジアでは、地域コミュニティと協力して、より効率的な水産加工方法についてトレーニングをしたり、フィリピンでは有害な焼畑農法の転換を支援するなど、天然資源への負担を軽減しながら、人々の生活の向上に取り組んでいます。また、持続可能な漁業管理を促進するために、地域へもたらされる経済的ベネフィットを高めることにも注力しています。
現地プロジェクト
西パプア州政府は、同州をインドネシア初の「自然保護州」とする法案を承認しました。コンサベーション・インターナショナルは、地球上で最も健全な海洋と、陸域生態系の一部を成すこの地域を保護する法律の制定にあたり、州政府への助言を行いました。
コンサベーション・インターナショナルは、太平洋諸島で30年近く活動しています。海洋保全、気候変動への適応と緩和、自然に基づく開発、環境保全のための革新的な資金調達のための戦略的・技術的支援を行ってきました。私たちの努力により、太平洋諸国では、総面積400万平方キロメートル以上の海洋が保護されています。
コンサベーション・インターナショナルは、東南アジアのメコン川の健全性を確保するために、政府やコミュニティと協力し、水源となる森林や湿地の保護、森林劣化の影響の最小化や漁業管理の改善などに取り組んでいます。
コンサベーション・インターナショナルは、1991年より、インドネシアの地域コミュニティや政府機関と協力して、重要な生態系を保護しながら、自然を基盤とした開発を促進するために長期的なビジョンを掲げて活動を続けています。
1995年以来、コンサベーション・インターナショナルは、フィリピンの豊かな自然生態系の保護に取り組んできました。マングローブに蓄えられた「ブルーカーボン」を貨幣価値化する、フィリピン初の試みは、マングローブの回復に必要な資金を革新的な手法で調達することにつながるなど、さまざまな取り組みを進めています。私たちは保険会社と協力して、コミュニティ主体の保全活動を支えるために、手数料や炭素のクレジット化を実施することで、マングローブの価値が保険商品に組み込まれるような仕組みを作っています。
地球上で最も若い国家の一つである東ティモールは、自然を基盤とした革新的で持続可能な開発モデルを構築するまたとない機会を得ています。CIの活動は、東ティモールの食料安全保障の向上、気候変動の緩和、生活の向上を目指しています。アタウロ島では、コミュニティと協力して、12の海洋保護区を一つのネットワークに統合し、保護活動の強化と地元への利益還元を図っています。
海中を雄大に泳ぐマンタは、持続的な方法で管理することができれば、アジア太平洋の地域社会に経済的なライフラインを提供することが可能な貴重な海洋生物です。CIは、革新的なテクノロジーと政府や関係者とのパートナーシップを活用し、マンタが繁栄を続けられるよう、保護活動を続けています。