2つの大陸に広がる南北アメリカは、自然の宝庫といえる重要なランドスケープとシースケープを有しています。広大な淡水資源と豊富な生物多様性、アマゾンの熱帯林を始めとした炭素を大量に貯蔵している自然生態系は、気候変動による大きな影響を緩和できる機能を持ちます。
しかしアメリカ大陸は、破壊や汚染、生息地の消失、乱獲など、この地の自然資源を損なう深刻な課題に直面しています。
コンサベーション・インターナショナルは、世界中の人々に影響を及ぼすこの地域の重要な生態系の再生と保護に取り組んでいます。
活動地域
脅威
農業、また、石油、ガス、鉱物資源の採取産業、そして都市の拡大がアメリカ大陸の森林を脅かしています。1970年代以降、アマゾンの熱帯雨林は約100万平方キロメートル(日本国土の約2.5倍)が失われました。
この地域の海洋生物の生息環境は、乱獲や密漁によってますます悪化しており、シーフードを主なタンパク源とする人々の暮らしも同時に脅かされています。
高炭素なマングローブ林や多様なサンゴ礁など、脆く繊細で、かつ、重要なこれらの生態系は、沿岸開発、農業、気候変動の影響により、崩壊の危機に直面しています。
私たちの取り組み
1988年、ボリビアはCIの仲介により160万ヘクタールの熱帯雨林とそこへ生息する絶滅危惧種を保護することの約束と引き換えに、対外債務を帳消しにすることができました。この先進的な「環境スワップ」以来、CIはブラジルのアマゾンの再生、コスタリカにおける違法漁業の防止など、さまざまな革新的保護活動に取り組んでいます。
現在CIは、ボリビア、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、ガイアナ、メキシコ、ペルー、スリナムの9カ国に現地オフィスを構えています。そして、アメリカ大陸の森林回復、海洋管理の改善、重要なランドスケープやシースケープの保護強化に取り組んでいます。
重点分野
熱帯林やマングローブ林などの”高炭素生態系”は、気候変動問題への対策として、強力な味方となり得ます。 南北アメリカ大陸で、炭素が大量に保持される数百万ヘクタールの熱帯雨林と沿岸部のマングローブ林を保護することで、気候変動の影響を緩和されることが期待できます。
健全な海は、生命を維持し、気候を調節しています。 南北アメリカでは、ブラジル沖のアブロリョス海域と、東部熱帯太平洋海域で漁業をより持続可能な形へ変えることによる、海洋保護に取り組んでいます。 また、ハワイでは、ローカルコミュニティと協力して持続可能な漁業を実施したり、コスタリカでは、海洋科学者と協力しながらサンゴ礁を再生する取り組みを進めています。
自然を大切にすることは、地域社会と当時に企業の繁栄も支援することにもなります。私たちは、アメリカ大陸で、然保護を軸にしたビジネスを推進しています。アマゾンの森林破壊を防止するためのサプライチェーンの確保や、メキシコとペルーの農家が森林や河川の健全性を維持するための持続可能な農業技術導入などの支援を行っています。
現地プロジェクト
私たちの投資ファンドである「CIベンチャーズ」は、環境問題の大きな解決策となりえるビジネスをもつ中小企業に資金を提供し、自然保護へ貢献を希望する企業とのパートナーシップを築いています。コロンビアのアマゾンでは、CIベンチャーズの融資によって、アサイーの実やヤシの実を調達する家族経営の会社「CorpoCampo」がインフラを拡大し、支援者からより大きな投資を活用することができました。
パリ協定の目標を達成して、気候の致命的なダメージを防ぐために、多くの国が炭素に価格をつけるカーボンプライシングを検討しています。CIは、コロンビア、エクアドル、ペルーの各政府と協力し、熱帯林とその他の高炭素保有の生態系への投資を増加させるための炭素価格制度の確立を支援しています。
ブラジルのアブロリョス海域では、CIの働きかけにより3つの保護区が創設されました。持続可能な漁法を行っているローカルコミュニティとともに最終的に約3,000平方キロメートルにおよぶ海域を保護することができました。
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ペルーのアルト・マヨ地区は、保護区に指定されているにもかかわらず、国内でも有数の森林減少率を誇っていましたが、今では、アルト・マヨの保護協定(コンサベーション・アグリーメント)の導入が進み、森林減少を半減させ、先住民コミュニティが近隣の森林を回復するのを手伝い、持続可能な農業技術の伝授や自然保護につながる他の生計手段を選んだ1000家族以上の生活を改善する新しい開発モデルを支えています。
先住民および地域コミュニティは、アマゾンの少なくとも4分の1を所有しており、彼らの土地では、森林破壊の割合が低くなっています。フランス政府とCIが出資する「Our Future Forests-Amazonia ヴェルデ」では、ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、ペルー、スリナムの26の先住民グループの能力開発により、2025年までにアマゾンの最大12パーセント(直接・間接的含めて約7300万ヘクタール)を保護下に置くことを目的としています。また、保全投資とインセンティブを促進するための新しい金融メカニズムを開拓します。
CIは、コスタリカのニコヤ湾で、漁業に欠かすことができない、かつ、6,000人以上の漁師の収入であり、近隣コミュニティの食料を供給する、大切なマングローブ生態系を保護するために活動を行っています。
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2004 年以来、CIは東熱帯太平洋シースケープで、 20 を超える海洋保護区の創設または拡大を支援してきました。また、重要な沿岸地域を回復するため、破壊的な漁業慣行を終わらせ、地域の政府間の協力を調整して、より持続可能な太平洋を作り出すために、地域全体で取り組んでいます。
CIハワイでは、漁業コミュニティや政府と協力し、ハワイ周辺の魚の個体数の回復を支援しています。責任ある漁法を広げ、網漁など違法で破壊的な漁法を廃止するために地元当局と協力することも行っています。
中南米地域のCIオフィス
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