ファクト
私たちは行動しなければならない
今すぐ行動を起こす必要があります。
今後の数年間で、地球の平均気温は1.5℃を超える可能性が高いといわれています。それは、地球温暖化の暴走が地球上の生命を根底から覆し始める世界の限界です。それを防ぐためには、迅速な行動しかありません。
森林の破壊を止めることが重要
森林減少は、気候危機のど真ん中です。
農業開拓のために進む森林の劣化と破壊は、化石燃料の排出に次ぐ、温室効果ガスの主要な発生源となっています。
変わることは可能
自然なくして、気候危機を脱することは不可能
たとえエネルギー分野と産業分野が排出量を削減できたとしても、温室効果ガスである炭素を吸収・貯蔵する機能を持つ森林や泥炭地など、自然生態系の破壊を止めなければ、人類は最悪のシナリオを回避することはできません。
NCSを推進するエクスポネンシャル・ロードマップ
より安定した気候への道筋とは
最新の気候科学に基づくこのロードマップは、2030年までに土地分野からの排出を完全にゼロにするための道筋を「自然の力を活用した気候変動対策:NCS」で示しています。これらは下記のようなステークホルダーへ有益な情報を提供することになります。
- 土地の所有を支援する手段を持った現地コミュニティ
- 自国の気候変動ポテンシャルを特定し、活性化するための知識を持つ国
- 気候変動対策に投資するための明確な道筋を持った、企業や金融機関
”自然のための炭素法(The Carbon Law for Nature)”の確立
2017年に研究者たちから提唱された「炭素法」は、気候の温暖化を産業革命前より2℃”十分に下回る”ようにするためには、2020年に排出量をピークに、2050年にネットゼロになるまで10年ごとに排出量を半減させる必要があるとしています。この目標を達成するためには、自然を守り、再生させることが不可欠です。そのため、ロードマップでは新たに「自然のための炭素法」として、土地部門からの毎年の排出量の基準を定めました。現在、人類の土地利用によって、毎年12.5Gtの温室効果ガスが排出されています。私たちは、これを2030年までに正味ゼロ、2040年までに5Gtの吸収、2050年までに10Gtの吸収にすることを目標としています。
New research released today finds that to avoid catastrophic climate change, the land sector – including agriculture, forestry and natural land protection and restoration – must reach net zero emissions by 2030. The research is part of a new report, “The Exponential Roadmap for Natural Climate Solutions,” released by Conservation International and partners Potsdam Institute for Climate Impact Research, WWF, and the Exponential Roadmap Initiative and that lays out a new benchmark: the “Carbon Law for Nature.” Rooted in the latest climate science, this benchmark states that everyone with a land sector footprint – particularly companies, banks and governments – must reach net zero emissions by 2030 and collectively achieve a 10 gigaton (Gt) carbon sink by 2050 across that footprint. LEARN MORE: conservation.org/roadmap
「自然のための炭素法」は、2030年にネットゼロを達成するために、土地からの排出削減量を毎年増やしていくシンプルな指標です。
「自然のための炭素法」は野心的なものですが、最先端の科学に裏打ちされた内容です。私たちのロードマップでは、「自然のための炭素法」の確立を実現するための道筋を示します。
ロードマップのステップ
ステップ1:自然の炭素貯留能力を保護し、回復し、改善するための行動を拡大する
大量の炭素を貯蔵している地域があります。そうした地域の保護が急務です。
アマゾン、コンゴ盆地、東南アジアの森林における、森林伐採などの破壊的な活動を食い止める。
米国、欧州、中国、インドやアフリカの農場や放牧地において、より生産性を高め、炭素貯蔵量を増加させる手法で、作業地をよりよく管理すること。
東南アジア熱帯地域の泥炭地やマングローブ、ユーラシア大陸や北米の北方地帯の泥炭地など、損傷・破壊された生態系を回復すること。
ステップ2:自分たちが食べるものとその育て方を変える
増加する世界人口に食料を供給しながら、農林業はこれを行っていかねばなりません。
2030年までに、世界の農業用地の20%以上、木材生産用自然林の65%を気候変動に配慮した管理に移行すること。
現在、有害な農林業活動に助成されている3,000億USドル(約34兆円)を、2030年までに再生可能な生産体制へ振ること。
2050年までに世界人口の50%がより持続可能な食生活を選択するよう奨励していき、食品ロスを半減させ、農地を自然の生態系に回復させる場とすること。
2050年までに、すべての家畜への飼料を人間用の農産物ではなく、木、作物の副産物や生ゴミに置き換えること。
ステップ3:何世紀も前から行われている、低コストな土地管理方法を迅速に拡大する
伝統的な先住民の知識には、多くの実践事例が含まれています:
自然林を商業農地へつなげて、融合させることで、収穫量を減らすことなく、樹木を農地に統合すること。
気候変動に配慮した放牧(家畜の移動など)を行うこと。
減農薬栽培などの再生農法で、土壌を管理すること。
メタンの排出を抑えるために、穀物飼料を使用する食肉産業のインセンティブを下げること。
肥料の過剰使用、そして、水路汚染へつながる廃棄物流出を阻止すること。
ステップ4:サプライチェーンにおける、農業に関連した森林破壊の是正
生産者、卸業者、小売業者、投資家を含むサプライチェーン全体が、森林減少ゼロを達成するための公約を拡大し、実現できるよう支援すること。
森林の生産力の回復を含めて、社会的、経済的、環境的な利益を強化する、低負荷の伐採や、輪伐期間の延長など「気候に配慮した林業」を広げること。
違法な森林破壊を止め、違法に伐採された土地で生産された商品を禁止するための貿易法を早急に整備すること。
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