かつてないスケールの海洋保護
海はすべての生命の源です。
しかし今、海は極度の危機に瀕しています。
気候変動の影響による、かつてないレベルの海水面上昇や、海水温の上昇は、近年の国連の報告書で警告されていたことのわずか一部に過ぎません。このままいけば、今世紀の末頃には、海水温はさらに高上昇し、海は酸性に変わって、生き物のいない状態になってしまうでしょう。それはつまり、私たちの生活に直結する、地球の気候システムや食料安全保障の面においても、絶望的であることを意味します。
海を健全な状態へ戻すために、私たちは早急なアクションが必要です。
世界の現状
世界で7人のうち3人は、シーフードを主なタンパク質源にしています。
世界で約44%の人々は、海から150キロメートル以内に暮らしています。
沿岸地域には、熱帯林における単位面積当たり10倍に相当する二酸化炭素が固定されています。
コンサベーション・インターナショナルのオーシャンセンターは、国際的な海洋保全の取り組みを主導しています。オーシャンセンターは、10年以上にわたり培ってきた企業や政府、コミュニティとの協働経験に基づき、地球規模での海洋保護を推進しています。先端科学と社会的イノベーションを組み合わせた戦略で、様々な保全グループや、企業、政府らとパートナーシップを組んでいます。
プラネタリーゴール
-2030年までに達成すべきこと-
世界の海洋の30%がそれぞれの地域に沿った手法で積極的に保護され、漁獲量の75%以上が、社会的責任を伴い、環境に配慮された持続可能な方法で調達されること。
私たちの取り組み
12カ国以上で、40箇所以上の漁場へ持続可能な漁業の導入を支援しています。
22カ国以上で、漁業管理の改善を行い、また、マングローブ林を再生することで、沿岸コミュニティの気候変動に対する緩和と適応を支援しています。
これまでに500万平方キロメートル、20カ国以上の海域にまたがる海洋保護区の創設を支援しています。
コンサベーション・インターナショナルは、世界的に重要な地域で、自然に基づく開発アプローチを実行しています。
- 世界各国が海洋保全の規模を拡大できるよう、資金と人的資本を生み出し、活用しています
- マングローブなど沿岸の自然生態系を保護および再生するための経済的、政策的インセンティブを創出しています
- 有害な水産業の政策や慣行を撤廃するために働きかけています
コンサベーション・インターナショナルの約束
2025年までに、少なくとも20の地域における漁業・養殖場の健全性と管理を向上します。
海岸線を保護・再生し、2030年までに世界のマングローブ被覆率を20%増加させます。
2025年までに少なくとも、1,800万平方km(全海洋の5%)の海域で保全活動を推進します。
ブルー ネイチャー アライアンス(Blue Nature Alliance)
2020年、コンサベーション・インターナショナルとピュー慈善トラストは、有害な漁法など、生物多様性の損失につながる海に対する重大な脅威に対処するための新しいイニシアティブ「ブルー ネイチャー アライアンス」を立ち上げました。ブルー ネイチャー アライアンスは、今後5年間で、世界的に海洋保護区を効果的に倍増させることを目指しています。 達成されれば、2030年までに少なくとも全海洋の30%を保護する、という世界目標に取り組むコミュニティの協働が更に促進されることになります。
エシカルなシーフード
コンサベーション・インターナショナルは、環境、人権、そして業界のリーダーたちと共に、主要な産業と小規模漁業のサプライチェーンを変革を起こす「社会的責任の伴う水産業のモントレーフレームワーク(Monterey Framework for Socially Responsible Seafood)」を実践し、漁師たちの経済的、政治的、文化的立場を守るセーフガードを用意しています。環境面、人権面の双方において危機的な状況にある地域で、技術的な知見を提供しています。
現地プロジェクト紹介
コンサベーション・インターナショナルが世界各地で実施しているプロジェクトをご紹介します。
フィリピンは気候変動の影響を最も受けている国の一つです。
激しい熱帯性低気圧がより頻繁に発生し、破壊的な暴風雨が沿岸地域を襲っています。コンサベーション・インターナショナルは、従来採用されていた人工インフラ(防波堤など)と自然の防波堤(マングローブ林など)を組み合わせた「グリーン・グレイ」プロジェクトで、未来の暴風雨の被害を最小化にするために取り組んでいます。
東南アジアの東ティモールは、広大なサンゴ礁に囲まれた海洋生物の宝庫で、世界中からダイバーが訪れています。コンサベーション・インターナショナルは、12箇所におよぶ地域コミュニティ主導の海洋保護区を統合し、一つの大きな保護ネットワークを形成するためのイニシアティブを立ち上げました。海洋保護区では人間による活動は制限されるので、過剰漁業を防ぎ、海を健やかに保つことができます。今では地元コミュニティが海洋保全を通して生計を立てられるようになりました。
コンサベーション・インターナショナルは、中央アメリカで最も生産性の高い河口の一つであるコスタリカのニコヤ湾において、多様なマングローブの生態系を保護し、再生するために活動しています。ニコヤ湾のマングローブ林は多くの生き物の生息地を提供しているほか、漁業的にも重要な地域であり、6000人以上におよぶ漁師たちの生計を支えています。これまで1世紀以上にわたり、地域コミュニティの主な食料源を支えてきました。マングローブ林は、海の水質を保ち、海岸侵食を防ぐ役割としても重要な生態系です。
2019年、コンサベーション・インターナショナルは、エクアドルの海洋保護、管理、長期的な持続可能性を支援するために、600万米ドルの資金を基にした「エクアドル・アズール基金」の創設を発表しました。エクアドル・アズールは、世界最大のマンタの個体群から、太平洋沿岸最大級のマングローブ林まで、莫大な数の海洋生物多様性の保護、そして、2000平方キロメートルにわたる沿岸の生態系の保護を支援しています。
重点テーマ