コロンビアは「生態系のゆりかご」
この地域はアンデス山脈とアマゾン熱帯林入り口をつなぐ位置にあり、その地形的特徴から生態系コリドーとして重要な役割を果たすと共に、独自の貴重な生態系が見られます。
Huila(ウィラ)県はコーヒーの生産に適した気候や自然条件で、質の高い「Huilaコーヒー」の生産地です。しかし、地域には他に際立った産業がなく、小規模貧困農家がコーヒー生産地の拡大を続け森林が点々と切り拓かれ、森林の連続性が失われてきました。特にここ10年はHuilaにおけるコーヒー栽培地は10%拡大し、森林減少が急速に進むと同時に、生物多様性の損失、水資源の枯渇や土砂崩れなど様々な負の連鎖を引き起こしています。また一方で、近年の気候変動の影響がコーヒー生産やコーヒー生産に依存する人の生活に大きな脅威となっています。
生態学的コリドー全体の保全を目指すランドスケープアプローチ
このような状況に対し、Andean-Amazonianコリドーではランドスケープレベルでの保全プログラムが実践されています。
Huilaのサステナブルコーヒープログラム
Supply Shedプログラム
ランドスケープレベルでの保全が進む中で、Huilaでは同地域からコーヒー豆を調達する企業が連携する画期的な取り組みが始まっています。これまでは、個々の企業が別々の(しかしそれぞれ似通った)サステナブルコーヒープログラムを展開してきたのを、共通の基準で実施しようというものです。共通の基準を設けることで、企業が個別に取り組む労力やコストが省かれ、その分保全やCO2削減、地域社会への貢献を高めることが可能になります。
コーヒーの生産現場においてサステナブルな取り組みが行われつつも、CO2削減の測定に関して手間やコスト面から実施されていないケースが多く、Supply Shedのような共通の基盤を設けることで、より中小企業も自社のCO2削減の貢献が可視化できるようになります。また、インセッティングによる自社スコープ3のCO2排出削減としての検討も可能になります。
Supply Shedプログラムは2025年末頃の実質的スタートを目指し、将来的には他の地域にも応用することを視野に入れています。
現在の状況
インパクト&スケール 小 →
Supply Shed プログラムが目指す将来像
インパクト&スケール 拡大!
・個々の企業がサステナブルプログラムを考案/実施
・地域で企業がサステナブルプログラムを共有
精選プロセス改良の支援
HYLEA PACTでは、企業からの支援をプログラム化し、Huilaの小規模コーヒー農家に対して、Ecomill (水とエネルギーの消費を大幅に減少)、Green filter (有機物による汚水浄化設備)、Compost center (果皮の廃棄物を肥料化)など複数の選択肢から1つの購入支援(費用一部負担)を行っています。
コーヒー豆1kgの精選に使用する水の量
~Huilaは水ストレスが高く、水資源の保全は最重要課題~
水洗処理後のコーヒーチェリー残渣からはメタンガスが発生します。(一方でメタンガスは回収/再利用も可能です)
支援額は一農家あたり800-900USD程度で、すべての農家への支援は大きなコストになります。
一体このコストは誰が負担するべきなのでしょうか。
日本で美味しいコーヒーを安く飲める裏側の事情にも目を向けてみませんか?