コンサベーション・インターナショナルは、東南アジアの人々、自然、気候すべてにとって重要なこの森を守っています。
CIは、プレイロング地域の生態学的価値をより深く理解するために2005年から現地で調査を行っています。カンボジア国内最大級の規模である保護区となる地域の境界を決める際、CIの科学的知見が利用されました。現在、この地域の自然保護活動と引き換えに、現地コミュニティが収入源を確保するために、持続可能な米の生産を確立するための支援を進めています。さらに保全プロジェクトを継続するために持続可能な資金を確保するカーボンプロジェクトを立ち上げています。
なぜこの地域が重要なのでしょう?
プレイロング地域は、カンボジア国内で最も生物多様性の高い森林のひとつです。この保護区とその周辺には25万人以上の人々が暮らしており、そのほとんどが、この自然に直接的に生活を依存した暮らしを送っています。
プレイロングの森は、地域最大級の森です。そこは、熱帯雨林から草原、湿地帯まで、動植物にとってさまざまな生息地が広がっています。
プレイロング地域には、テナガザル、アジアゾウなどを含む55種の絶滅危惧種や、カンボジアに生息する鳥類の約45%、そしてコウモリの3分の1にあたる種たちへ大切な生息環境を提供しています。また、538種の植物が生息し、カンボジア絶滅の危機に瀕している固有樹種の80%がこの地に生息しています。
プレイロングの森は、ストンセン川とストンチニット川に水を供給しています。この2つの川は、カンボジアのトンレサップ湖に注ぎ込み、世界最大級の淡水漁場として、カンボジアの経済と食料安全保障に欠かせない存在となっています。
起きている様々な問題
違法伐採
保護区であるにもかかわらず、違法伐採は驚くほどのスピードで続いています。ローズウッドなど木材種の多くはすでに非常に希少となっており、伐採者たちは他の貴重な種の伐採まで始めています。
野生生物の違法取引
特にワイヤー罠を使った狩猟は、東南アジアにおける生物多様性への最大の脅威となっています。残念ながら、プレイロング地域では野生動物の違法取引が盛んに行われています。プレイロング地域で捕獲された多くの哺乳類、トカゲ、鳥類、爬虫類は、地元の市場で売られたり、中国やベトナムに輸出されたりしています。
開発
プレイロングの森林は、この地域の主要な生計手段となっている農業から強い圧力を受けています。国内目的の伐採はほとんど規制されていないのが実情です。そして、新たな道路の建設は繊細な地域を切り開き、生き物たちの生息地を破壊し、違法伐採や密猟のためのアクセスを容易にしています。
気候問題
プレイロングの森には、気候変動の原因となる炭素が1億2,000万トンも貯蔵されていると推定されています。これは自動車2,600万台が1年間に排出する炭素量にほぼ匹敵します。森林の伐採は、これらの大量の炭素を大気中に放出することになるのです。
CIの計画
Prey Lang Wildlife Sanctuary is the largest lowland evergreen forest in mainland South East Asia, Cambodia’s largest protected area, and recognized as one of the most biodiverse forests in the country. Over 250,000 people live in and around the sanctuary and almost all rely directly on this nature for subsistence and livelihoods. However this vital forest is under significant pressure from human activity. Conservation International have been researching Prey Lang since 2005 and are now working directly with communities, the private sector and government to improve law enforcement, establish sustainable livelihoods, and implement sustainable financing solutions based on forest carbon. Learn more at www.conservation.org/preylang
保護区の管理
コンサベーション・インターナショナルは、2005年からプレイロングで保全事業を進めています。この地域が野生動物保護区に指定されるよう、私たちはさまざまなレベルの政府へ働きかけ、4つの州にまたがる保護区の境界を定義するのを支援しました。そして、2016年に保護区が正式決定され、国内最大の保護区となりました。
コミュニティに寄与するカーボンプロジェクト
私たちは、パートナーであるカンボジア環境省と日本の三井物産株式会社とともに、プレイロングの森林を保護し、人々の暮らしや法執行の方法を改善することで、温室効果ガス排出を削減するカーボンプロジェクトを実施しています。このREDDプラス(森林減少・劣化に由来する排出の削減)プロジェクトの一環として、森林炭素蓄積量の定量化、地元・州政府への熱帯林モニタリング研修、生計向上支援や法執行訓練などを実施しています。このカーボンクレジットを売却することで、長期的な森林保護のための資金を調達することを目指しています。
コミュニティの生活向上
私たちは、プレイロング地域のコミュニティが、環境の保護活動と引き換えに、森林にやさしい代替収入源を確立できるよう支援しています。「アイビスライスプログラム」を通じて、地元の非営利団体Sansom Mlup Preyと連携し、地域コミュニティの生計向上に取り組んでいます。農家は、有機栽培や持続可能な農法に従うことで、米に付加価値を付けることに成功しています。
非木材林産物
多くのコミュニティは、森から樹脂や蜂蜜、籐、竹、果実を直接採取し、販売しています。コンサベーション・インターナショナルは、このような持続可能な活動を支援するためのトレーニングを提供してきました。しかし、これらのコミュニティを市場につなげるためには、さらなる努力が必要です。