【ピックアップ】保全活動は効果的、生物多様性に希望の光

BBCレポートから

May 7, 2024

BBCニュースのレポーター、エズメ・スタラード氏は、100年前まで遡るものも含む 600 件以上の保全活動の大規模な分析が行われた結果、保全活動が自然に対して大きな影響を与えていることが分かったと報告しました。

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分析によると、保護区の新設、生息地の回復、外来種の駆除など、3件に2件の割合で生物多様性の向上または減少の抑制が見られました。

Re:wildのエグゼクティブ・バイス・プレジデントである共著者のペニー・ラングハマー氏によると、”この調査結果は自然保護が有効であることを示すこれまでで最強の証拠となる”、ということです。

「種の絶滅に関する報道を読むと、生物多様性の保全に失敗しているように思えてしまうが、それは全体像を見ていないからだ」とラングハマー氏は言います。

生息地の破壊や気候変動の影響により、100万種以上の生物が絶滅の危機に瀕していることが国連の報告書で指摘されました。また、科学者たちは、人間活動によって絶滅の速度は、過去1千万年で最速になっていると警鐘を鳴らしています。

しかし、そのような中、今回の分析は、保全活動が違いを生んでいることを示す結果となりました。

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今回の分析は、世界各国で実施された665件の保全活動を含む、186件が対象となりました。この中で例えば、コンゴ盆地では森林管理計画を採用したことで、そうでない地域と比較して森林減少率が74%減少しました。フロリダのバリア島では、海岸に住む絶滅危惧種の最小ハシボソミズナギドリの捕食者管理に取り組んだ結果、繁殖率が2倍に増えました。

保護活動が対象種の個体数を増やすことに失敗した場合でも、他の種はその活動から恩恵を受けていることが分かりました。研究者たちは、「一見失敗と思える活動からも、将来の取り組みを改善するための重要な教訓が得られる」と言います。

結局のところ、資金さえあれば保全活動は効果的である、と共同研究者のジョセフ・ブル氏は話します。「つまり、これらの対策には、世界的に生物多様性の減少を実際に逆転させるほど十分な規模で資金が投入されていないということです」

コンサベーション・インターナショナルの調査によると、熱帯地域の人口の 3 分の 2 以上 (約 27 億人) が、衣食住、衛生、収入など、少なくとも 一つのベーシックニーズを直接自然に依存しています。また、世界経済フォーラムによると、世界の GDP の半分以上 (約 44 兆ドル) は、中度から高度に自然に依存しています。

しかし、生物多様性保護のための資金ギャップは、 7000 億米ドルあると推定されています。2022 年のCOP15にて、約 200 カ国が 「2030 年までに、地球の陸地と海洋の 30% を保護する」ことに合意し、そのために年間 2000 億米ドルを割り当てることにしましたが、今のところ取り組みは不十分です。

また、注目すべきは、この分析でレビューされた数百の研究のうち、グローバル・サウス(南半球)の国々から出たものはほんの一握りだったことです。これは学術出版や資金提供における代表者不足を反映している、と研究者たちは話します。

ブル氏は、BBCニュースに対して、グローバルサウスの研究分析が足りなかったこと自体は、今回の結果そのものには影響しないが、今後は改善したい点だと話しました。

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投稿 :Mary Kate McCoy, CI staff writer ※原文はこちら
翻訳編集: CIジャパン