カーボンクレジットとは?

 

森林は、気候変動問題に取り組む私たちにとって、最も大事な”仲間”ですが、多くの場面で、森林が生命のある状態よりも、生命のない状態に価値があると考えられています。

コンサベーション・インターナショナルは、樹木が大気中から炭素を除去し、幹や土壌に貯蔵している炭素に価値をつけることで、これまでの考えを変えようとしています。カーボンプロジェクトを通して、森林を守ること、そして森林に日々の生活を頼る人々を守ることで、気候の安定化に取り組みます。森林炭素プロジェクトは、気候崩壊を食い止める解決策の一つであり、気候の軌道を私たち人類が変えるための有効な手段です。

11%
温室効果ガス

人為的な全温室効果ガス排出量の11%が森林破壊に由来します

30%
必要な排出量削減

自然の保護と再生は、取り返しのつかない気候危機を避けるために必要とされる全排出削減量のうち少なくとも30%をまかなうことができます

3%
必要な資金

「自然の力を活用した気候変動対策(NCS:Natural Climate Solutions)」は、世界の気候対策資金のうち、わずか3%しか受け取っていません

25%<
人びと

世界で25%以上の人びとが、日々の生活を自然に直接的に依存しながら生活しています

カーボンクレジットについて

 

カーボンクレジットとは、ある場所で排出された温室効果ガスを、別の場所の排出削減によって埋め合わせるための仕組みです。1カーボンクレジットは、温室効果ガス排出量1トン分の削減を表します。クレジットは売買が可能で、クレジットが償却(無効化)されると、二度と取引できなくなる仕組みで、クレジットの買い手だけが排出削減を主張できることを保証します。

 

カーボンクレジットにまつわる誤解

  • 排出が許される権利ではない: カーボンクレジットは、事業からの排出量を削減する途上にある企業にとって「橋」であって、従来通りの排出を続けるための免罪符ではありません。実際、自然由来のカーボンクレジットを購入する企業は、そうでない企業よりも排出削減に積極的に取り組んでいます。
  • 万能手段ではない: カーボンクレジットだけでは気候変動問題は解決しません。化石燃料からの脱却を進めながら、一方で排出量を抑制するための重要な手段の一つです。
  • 技術的な課題は解決されてきている: カーボンクレジットは20年以上前から様々な形で実施されており、実験段階から実用段階へと移行しています。カーボンプロジェクトが意図した便益を確実に生み出すよう、過去数年間に科学や技術が進歩してきました。
  • 土地の収奪ではない: 質の高いカーボンクレジットは、プロジェクト実施前に、地域住民の自由意思に基づいた合意を得て、初めて成立します。カーボンプロジェクトは、人々を土地から切り離すのではなく、むしろ土地に対する地元住民の権利を強化し、守ることを前提としています。

カーボン プロジェクトとは?


カーボンプロジェクトの背景にある考え方:「カーボンクレジット」の販売を通じて、森林を切らず、生態系を回復させるために地元の人びとに支払うことです。政府、企業、個人は、カーボンクレジットを購入・取引することで、自らの排出量削減の努力を補完することができ、また、その収益が地域社会に還元されることで、森林保全(または森林再生)のインセンティブとなります。クレジットの買い手は自らのカーボンフットプリントの一部を相殺し、そこから生まれたインセンティブによって守られた森林は、地域社会を支えながら、大気中の炭素を吸収し続けることができます。

私たちのカーボンプロジェクトはこちら>>

 

カーボンプロジェクトの利点は何でしょう?

 

© Pete Oxford/iLCP

野生生物を守る

森林は無数の生物種が生息する場所です。医薬品に重要なたくさんの植物種から、農業に不可欠な花粉媒介者なども含まれます。

 

© Trond Larsen

水を守る

森林は水循環の原動力です。そして、降水に貢献し、水を保持し、ろ過し、さらに隣接するコミュニティには浸水の制御機能も提供しています。

 

© Adrián Portugal

食料安全保障と雇用を守る

何百万人もの人々が、きれいな水、食料安全保障、仕事などで、森林が提供するモノとサービスに直接頼っています。


 

© Georgina Goodwin

持続可能な開発を進める

カーボンプロジェクトからの収益は、森林コミュニティの社会、教育、保健プログラムに資金を提供します。また、何百万人もの人々に持続可能で経済的にレジリエントな雇用を支援します。

 

カーボンプロジェクトの要件

 

カーボンプロジェクトを成功させるためには、以下の厳格な基準を満たさなければなりません;

  • 追加性: カーボンプロジェクトへの投資がなければ、排出量の削減は実現しなかったであろうこと
  • 永続性: カーボンクレジットで表される排出量削減または吸収が長期的に持続すること
  • リーケージ(漏洩性): 森林破壊が単に別の場所へ移転されることではないこと
  • 利益分配: プロジェクトがもたらすメリットがコミュニティへ公平に分配されること

 

これらの要件を満たす方法

国際的に取引されるすべての森林カーボンクレジットは、以下を含んだ国連で合意済みの要件の基準を満たす必要があります:

  • ベースライン: 排出量が削減または除去されていることを保証するための、森林減少、劣化、保全、再生を測定する際の基準(ベースライン)
  • モニタリング: 追加性を確保するために、森林被覆率の変化をベースラインと比較して測定するモニタリングシステム
  • 戦略: 永続性を確保し、漏出を避けるための国家戦略を持つこと
  • セーフガード: 先住民の権利の尊重と、地域関係者の参加を確保するための社会的セーフガード、および森林消失のリスクを軽減するための環境セーフガードの遵守

 

 

REDD+(レッドプラス)とは?

一部のカーボンプロジェクトは、”REDD+(レッドプラス)”と呼ばれる枠組みの下で行われています。これは、Reducing Emissions from Deforestation and forest Degradation(森林減少・劣化からの排出削減)の略で、国連が認める政策及びインセンティブの枠組みです。このインセンティブの枠組みを通じて、各国は森林を保護し、国連パリ協定で求められている排出削減目標を達成することができます。

REDDプラスについて詳しくは こちら

 

 

「自然の力を活用した気候変動対策(NCS)」への投資に関する原則

「自然の力を活用した気候変動対策(NCS)」は、気候変動を食い止めるために最も効果的な方法の一つですが、世界の気候対策資金のわずか3%未満しかNCSへ投資されていません。コンサベーション・インターナショナルの「NCSへの投資に関する原則」では、気候温暖化を引き起こす炭素を蓄積し、大気からの炭素排出を抑えるために生態系の保護に貢献する企業の関わり方を示すものです。

コンサベーション・インターナショナルの「NCSへの投資に関する6つの原則」はこちら